リスク管理

元利均等返済の隠れたリスク:5年ルールと1.25倍ルールの落とし穴

変動金利の住宅ローンにおける元利均等返済では、金利上昇時に意外な落とし穴が存在します。5年ルールと1.25倍ルールが返済にどのような影響を与えるかを詳しく解説します。

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この記事のポイント

読了時間: 約12
カテゴリ: リスク管理
更新: 2025/1/8

概要

変動金利の住宅ローンを利用する際、多くの人が選択する「元利均等返済」。 毎月の返済額が一定で家計管理がしやすいというメリットがある一方で、 金利上昇時には「5年ルール」や「1.25倍ルール」によって、 元金が減らずかえって返済総額が増加してしまう可能性があります。

5年ルールとは

制度の概要

変動金利の住宅ローンでは、金利が変動しても返済額の見直しは5年ごとに行われます。 つまり、金利が上昇しても5年間は返済額が据え置かれるのです。

メリット

  • 金利上昇時でも返済額が急に増加しない
  • 家計の急激な変化を避けられる
  • 返済計画が立てやすい

デメリット

  • 金利上昇分は元金返済に充てられない
  • 利息負担が増加する
  • 元金の減少が遅れる

1.25倍ルールとは

制度の概要

5年ごとの返済額見直し時でも、新しい返済額は従来の1.25倍が上限となるルールです。 これにより急激な返済額の増加を防いでいます。

具体例

  • 現在の返済額:月10万円
  • 見直し時の上限:月12.5万円(10万円×1.25)

問題点

  • 金利上昇幅が大きい場合、利息を返済額でカバーできない
  • 未払い利息が発生し、元金に組み込まれる
  • 実質的に借入残高が増加する

実際のリスクシナリオ

ケーススタディ

借入条件

  • 借入額:3,000万円
  • 当初金利:0.5%
  • 返済期間:35年
  • 返済方式:元利均等返済

金利上昇シナリオ

  • 3年後に金利が2.0%に上昇
  • 5年ルールにより返済額は据え置き
  • 利息負担が返済額を上回る状況が発生

計算結果

  • 当初月返済額:約7.7万円
  • 金利2.0%時の本来の月返済額:約11.2万円
  • 5年ルール適用により7.7万円で据え置き
  • 毎月の未払い利息:約3.5万円

この状況では、毎月3.5万円ずつ借入残高が増加していくことになります。

対策方法

1. 繰上返済の活用

  • 金利上昇前に元金を減らしておく
  • ボーナス時の積極的な繰上返済
  • 毎月の余剰資金での部分繰上返済

2. 借り換えの検討

  • 固定金利への借り換え
  • より有利な金利での借り換え
  • 金融機関の乗り換え

3. 返済方式の見直し

  • 元金均等返済への変更
  • 返済期間の短縮
  • ミックスローンの活用

まとめ

変動金利の住宅ローンは当初の金利の低さが魅力ですが、 5年ルールと1.25倍ルールによるリスクを十分理解しておくことが重要です。 定期的な返済計画の見直しと、金利変動への備えを怠らないようにしましょう。

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